起業家を増やすことと人口を増やすことの両立

〜新しい「価値」を生み出す事業創生にむけて〜

2015年5月20日

記事に関連する写真

国内マーケットの状況

現在の日本は一定レベルの経済的な成長を遂げていることは周知のことですが、さらなる経済成長を遂げるためには何をすべきなんでしょうか。

一定の経済成長を達成した中でマーケットは飽和し急速に人口減少が減少する中でそれに合わせて既存の国内マーケットも収縮していくことが容易に想像できます。


そんな中でさらなる経済成長を国内マーケットに望むのであれば新しいマーケット生み出す新しい価値を生み出す事業の創生が求められるのでしょう。

しかし、新しい価値を生み出すことは時間とお金のみならず新しい価値観を持った人材が必要になります。

多くの人材を投与すれば時間はお金で買うことができるため時間とお金は同義と考えるとストックビジネスのある大企業はお金を持っています。しかし、与えられた仕事をこなすことで報酬を得ることが前提であり、仕事が細分化され、縦割りで官僚的になりがちな大企業において新しい価値観を持った人材を育てることは難しいでしょう。

そのため、その分野は思考の自由度が高く、仕事範囲に制限のない起業家に委ねられていますが、スモールスタートやVC、エンジェルなどの出現により以前よりはやりやすくなったとはいえ起業家は基本的にお金がないことが多い。

しかし、問題は起業家の数ではないだろうか。つまり、たくさんの方が起業に挑戦すれば成功確率が同じであっても成功する事業数は増えるということです。


起業家を増やすことと人口を増やすこと

起業するには資金調達の仕方にもよるだろうが成功まで一定期間無収入の時期が発生する可能性が非常に高いです。そうなると無収入であってもなんとか生活していける独身者の方が起業しやすいと言えるでしょう。

しかし、現在の日本は人口減少社会であり、国民に早く結婚し、多くの子を持つことを求めています。

一方では経済成長のために起業家を増やしたい、他方では人口減少を食い止めるため早く結婚して子供をたくさん作って欲しい。

そんなことは可能なのでしょうか。


起業しようと思えば若いうちにですが、安定した収入を得るまでに会社を育てるにはそれなりの年月がかかるだろう。(もちろん、急速に成長するビジネスモデルがあれば別ですが)


となると結婚時期が遅れる可能性が高いだけでなく、仕事に打ち込むことで、恋愛関係を持つ可能性のある異性とも疎遠になる可能性が高く、結果的に結婚しないか、結婚してもかなり遅れて結婚することになる。

この状況で子供を持つためには、一緒に苦労してくれる女性を若いうちに見つけ、経済的に苦しい中でも子供を育てるか、もしくは、大成功している男性であれば晩年で若い奥さんを持ち、そこからたくさん子供を作るか。

しかし、恵まれた環境で育ち、選択肢がたくさんある今の若者世代にとってはいずれも魅力的な選択肢ではないように思えます。


逆に大学を卒業し、それなりの会社に入り、安定した収入を確保した人(確保した言えるかは置いておくとして)であれば早々に家庭を持ち、子供を持つことも可能でしょう。

しかし、家庭や子供を持つと起業への足取りが重くなり、最終的に会社員を全うし、定年後に何かしようということになるでしょうが、定年まで会社に尽くした方が定年後すぐに起業する可能性はかなり低い上に新しい価値を生み出す可能性も低い気がします。

つまり、この場合、起業家数を増やすことにあまり寄与しないですが、人口減少を食い止めることには一定レベル寄与するでしょう。

しかし、人口増に寄与するためには子供を3人以上持つことが必要となるわけですが、大学卒業後会社員になったとしても一部の会社を除き給料はそれほど高くなく、自信を持って家庭を持ち、子供を持つためには10数年かかるようです。

となると結局晩婚化、晩産化となり、結局、人口減少を食い止めることには一定レベルで寄与するが人口増加に寄与しないということになり、起業家も増えないし、人口も増加しないということになります。


つまり、何が言いたいかといえば起業家を増やすことと、人口増加を両立させることは論理的にかなり難しいのではないかということです。


仮に経済的な理由が人口増加を阻んでいる主要因だとすれば、新しい価値を生み出す事業を創生することと人口増を両立するためには、リスクの低い状況で新しい価値を生み出す事業をたくさん作ること、つまり「一定の収入が担保された状況でトライアンドエラーができる環境を作ること」でしょうか。

しかし、利益を生み出していない事業においてVCやエンジェルが起業家にどの程度の報酬を許容するのでしょうか。

仮に一人で始めた事業であっても初期投資、事業運転資金と起業家の人件費を担保するとなると初年度から1000万を超える投資が必要になることも多く、海のものとも山のものともいえない事業に当初からそれだけの投資することはまずないように思えます。


そうなると可能性があるのは既存の企業内で新しく価値のある事業を興すこと。

しかし、それには安定したストックビジネスが求められ、その上で動的に効率的に予算を配分することが求められるでしょう。何より難しいのはストックビジネスにより安定した環境の中で既存思考パターンを自ら壊し、新しい価値を生み出す意欲を持つ起業家を育てること。


ん、、、なんだか八方塞がりになってしまいましたが、現在なかなかうまくいっていないわけですからそれぞれ単体でも難しいことですから「新しい価値を生み出す事業を創生すること」と「人口を増加させること」を両立させることは異次元にむずかしいことなんでしょう。


日本の現状と「価値」そして「挑戦」

ここで原点に立ち返り「新しい価値を生み出す事業」の「価値」について考えてみました。


仮に「価値」を「課題の解決」だと定義すると、今の日本は、衣食住にも困らず、便利なものに囲まれた生活ができるため個人における課題が極端に少なく、逆に人口減少、過疎化などに起因する社会的に解決すべき課題が多いのかもしれません。

昨今日本で社会起業家が増えている背景もこの辺にあるのかもしれません。


であれば、価値を生み出すという意味で日本が今後歩む道は、「日本国外の課題解決に走る(いわゆるグルーバル)」か、もしくは「国内の社会的課題を解決して儲けることができる仕組み」を作り、それぞれの領域で多くの起業家が「挑戦」できる環境を作ることかもしれませんね。


その上さらに人口を増やすとなると個々人が苦しい状況の中でも家庭を持ち、子供を育てていくことに「挑戦」していくことが必要なのでしょうね。


そう、結局は「自分で考え」、「挑戦」することでしか課題は解決されず、今の現状を招いているのは我々日本人のチャレンジスピリッツの欠如なのかもしれませんね。

でも、「挑戦」に遅すぎるということはないと私は信じています。


さあ、「挑戦」を始めましょう!!